療法について

キネシオテーピング療法とは

キネシオテーピング法誕生まで

加瀬D.C.は西洋医学に疑問を持ち始めていた頃、リウマチ治療に効果を上げている「超低温療法」の話を耳にしました。
その療法では、テープを使って変形した関節を元に戻すというのです。
これは今までの、一度変形した関節は元には戻らないという理論とは正反対です。

加瀬D.C.はそのことに注目しました。

さっそく米国よりスポーツテープを取り寄せ、試してみることにしました。
しかし、何度やってもよい結果は得られませんでした。ここからが研究の始まりです。

どうすればよいのか試行錯誤の繰り返しです。そして、とうとう病気の原因は筋肉にあることを突き止めました。そしてテープは固定してしまわないで、筋肉に沿って貼ることを考案したのです。従来のスポーツテーピングは、関節をガッチリ固定してしまう、それが常識でした。最初に正反対の理論に注目し、そしてそこから更に正反対の方法をあみ出したのです。
これにより、なんと今まであった痛みがその場で軽くなったり消えたりしたのでした。

キネシオテックスの開発

怪我や何かで伸びすぎてしまった筋肉や、収縮してしまった筋肉は、健康な筋肉の伸縮率を失っています。

それらをサポートするには、健康な筋肉と同じ伸縮率を持っているテープを開発する必要がありました。そして、ノリの付いたテープを人肌にピッタリくっつけますので、皮膚への不快な影響も重要なテーマでした。機能だけではなく、人に優しくあるための研究開発は、2 年も続けられました。

そして、接着剤や通気性などの改良を重ね、ようやく人間の筋肉の伸縮率に近い、皮膚を約10ミクロン引き上げることのできるキネシオテックスが誕生しました。この様に、「キネシオテックス」はキネシオロジー(運動機能治療学)から生まれたテープなのです。

キネシオテーピング法の歴史

キネシオテーピング法の歴史を見る
1980年東京の麹町に「加瀬カイロプラクテック研究所」を開院
キネシオテーピング法考案
治療界を中心に普及が進み療法の一つとして注目を集める
キネシオテーピング専用テープを「キネシオテックス」と命名
1983年キネシオロジー(運動機能学)の研究所及びカイロプラクテックのクリニックである
「加瀬カイロプラクテック研究所」を法人化、「株式会社 健医会」を設立
キネシオテーピング法がセミナーなどで広く紹介される
1984年キネシオテーピング法の普及を目的に「全国キネシオテーピング協会」を設立
1985年キネシオテックスの販売会社として「株式会社 キネシオ」を設立
全国各地でセミナー講演会を開催
第1回キネシオテーピング臨床研究発表会開催
1986年米国・ブラジル・韓国・台湾など海外でも注目を集める
シカゴ・サンディエゴ等でキネシオテーピングセミナーを開催
1988年ソウルオリンピックにて、日本女子バレーボールチームで「キネシオテーピング法」が正式に採用
キネシオテーピングのトレーナーが随行し、大きな成果を上げた
スポーツ業界にも、「キネシオテーピング法」並びに「キネシオテックス」が普及する
「キネシオテックス」が全国の薬局、スポーツ店などで発売される
新応用クライオセラピー(冷却療法)考案
1990年筋スラッキング(弛緩療法)考案
1991年地方自治体、教育委員会が主催するキネシオテーピング法のセミナー講習会がスタート
1994年アジア・オセアニア地域に「キネシオテーピング法」「キネシオテックス」が普及する
1995年「全米アスレチック・トレーナーズ協会(NATA)」に招かれ、プロ野球メジャーリーグ、
プロ・フットボール等のプロトレーナーにキネシオテーピング法の実施指導が行われる
1996年「全米プロ・アスレチック・トレーナーズ協会」総会で講演
ヨーロッパ地域に「キネシオテーピング法」「キネシオテックス」が普及する
1997年現地法人キネシオU.S.A.設立
メジャーリーグ7球団のスプリングキャンプでキネシオテーピング理論が認知された
1998年キネシオテックスカットタイプ発売 ブリスターパック各サイズを発売
中南米地域に「キネシオテーピング法」「キネシオテックス」が普及する
1999年第15回記念キネシオテーピング臨床研究発表会世界大会開催
オランダ・ドイツ・アメリカ・台湾・韓国より学術研究発表者来日
2000年韓国で「キネシオテックス」が医薬部外品として認定される
理学療法学会誌に取り扱われる
2001年米国老人保険の取り扱い認定(米国政府の健康保険であるメディケアのコード取得)
2003年キネシオテーピングの馬への応用が試験的に始まる
2007年キネシオテーピング協会が法人化「有限責任中間法人 キネシオテーピング協会」設立
2008年「キネシオテーピング療法学会」を設立、学術的は研究発表が始まる
「キネシオテーピング協会インターナショナル(KTAI)」がニューメキシコ州 アルバカーキー市
(米国)に設立、キネシオテーピングのグローバル化に伴い、キネシオテーピング協会の本部が米国へ移行する
北京オリンピック開催 各国の代表選手がキネシオテーピングをして、メディアに取り上げられる
2009年「一般社団法人 キネシオテーピング協会」と名称を変更
ケンタッキーダービーに参加(米国のアメリカクラシック三冠の第1冠で、ケンタッキー州の競馬場で開催される3歳牡馬の最大目標の大会)
キネシオテーピング法が紹介される
2010年米国にて、スキー&スノーボード 冬季オリンピックチームのサポート
キネシオテックスの「ファンカット」と「プレカット」が発売される
ローマ(イタリア)にてKTAI主催のインターナショナル キネシオテーピング シンポジウム開催
2011年キネシオテーピング法の「表皮、真皮、筋膜テーピング法(EDF)」が発案されました
現「キネシオメディカルテーピング」
2012年「表皮、真皮、筋膜テーピング法(EDF)」専用テープ「キネシオテックス ゴールドFP」が発売される
ロンドンオリンピック開催
キネシオテーピング法が米国オリンピック協会認定トレーナーの教育科目として採用される
デュッセルドルフ(ドイツ)にてKTAI主催のインターナショナル キネシオテーピング シンポジウム開催
「表皮、真皮、筋膜テーピング法(EDF)」にて、手術後の「痛み」「浮腫」の効果の研究発表がDr.クライン博士によって発表される
2014年ソチオリンピック開催(ロシア) 選手村にキネシオテーピングトレーナー派遣される
ロシアのキネシオテーピングインストラクターがオリンピックトレーナーとして活躍
「キネシオテックス エクワイン」馬専用のキネシオテックスが発売される
2015年日本にてKTAI主催の第30回記念大会 インターナショナル キネシオテーピング シンポジウム開催
キネシオ大学(キネシオ ユニバーシティ)設立 ニューメキシコ州 アルバカーキー市(米国)
キネシオ大学の主な目的は、キネシオテーピング法の学術的な研究を他の大学や医療機関と協力して行うこと
2016年リオオリンピック開催(ブラジル) キネシオテーピングインストラクターがオリンピックトレーナーとして活躍
2017年ハワイにてKTAI主催のインターナショナル キネシオテーピング シンポジウム開催
2018年キネシオチャイナ(中国)が設立
2019年キネシオチャイナ(中国)が国内各地、モンゴルの病院や大学、スポーツジム等でセミナー開催
2020年キネシオテーピング法の犬専用テーピング法の書籍「愛犬家のためのキネシオテーピング法」と
専用テープ「犬のためのキネシオテープ」(KINESIO TAPE FOR CANINE)が発売

キネシオテーピングの効果

キネシオテーピングの4つの効果

  1. ①筋肉の機能を正しくもどす
  2. ②血液・リンパ液の循環を良くする
  3. ③痛みを抑える
  4. ④関節のずれを正す

①は、何らかの障害、怪我、使いすぎによって痛めた筋肉を治すということです。どなたでも筋肉が固くなったことがあるでしょう。

ひさびさの運動で全身が痛くなった経験もあると思います。キネシオテックスを貼ることによって、伸びすぎた筋肉、縮みすぎた筋肉をもとに戻したり、弱っている筋肉を強くする効果があるのです。

②はいわゆる、血行不良といわれているもの、たとえば肩こり、冷え性などを治すものです。血液やリンパ液の流れが悪くなると、うっ血状態となって神経を圧迫します。この流れをよくするために、キネシオテーピングでは、皮膚とその下にある組織間の隙間を拡げることによって、その循環を助け、局所にたまっている血液やリンパ液の循環を改善することができます。

③は痛みに対する鎮痛効果です。痛みを感じたときに、自然に手をあてがったことはないでしょうか。これは、皮膚や筋肉を刺激することで、神経学的に痛みを消す効果があることがわかっています。本来、人間には自分で痛みを抑える機能があり、それがキネシオテックスを貼ることによって、活性化されるのです。

④の関節のずれというのは、おもにスポーツでの障害によって、おこることが多いのですが、その場合にキネシオテーピングは効果を発揮します。筋の異常な緊張によって関節を構成している骨を引っ張ってしまい、関節がずれてしまう場合などがそうで、ある程度キネシオテックスを引っ張って使用します。膝や足首など、強い衝撃で痛めやすい部分によく使われます。

「空」・「動」・「冷」人間の病態とキネシオテーピングの基礎概念

キネシオテーピング療法とは

人体は55~80%が水分で構成されています。その一部は栄養の運搬や熱の発散、組織の位置決定や修復などのために循環しています。この循環は、人体を膜組織としてとらえた時にその膜間の潤滑油的役割も兼ねて行われています。
ところが、筋の運動障害や抗重力能力の低下、自律神経のスムーズでない働きによってその循環が停滞し、栄養障害や発熱、自然回復の力の低下が起こり、病気や痛みの治療を妨げることになるのです。
この乱れを起こした膜の相互関係と機能を復元することで停滞を解除し、人体の自然治癒能力を呼び起こそうとする自然療法の1つをキネシオ療法といいます。
 そしてこのキネシオ療法の中で、人体に比較的浅い場所へのアプローチから膜組織の乱れを調整し、筋膜を中心とした機能改善により、リンパ還流の調整、痛みの緩和、ゆがみの調整などを目的に行うテーピング法のことをキネシオテーピング療法といいます。

人間の病態とキネシオテーピングの基礎概念

 キネシオテーピング療法における病態の発生機序は、以下を理解し人体をイメージできると見立てやすくなります。

人間の体は風船である。幾重にも重なった風船である。その隙間は水で満たされ、循環し組織の熱をとり、汚れを掃除している。重力や自律神経はもとより、姿勢や動作などにより、潰されたり、伸ばされたりした部分に水は停滞し摩擦熱が発生、体が問題を起こす。その潰されたり、伸ばされたりした部分を修復するのがキネシオテーピングである。

「空」、「動」、「冷」=「KU」、「DO」、「REI」の考え方は、

キネシオテーピング療法の基礎。

  • 空(Space)は、テーピングによるシワで人体の組織層を持ち上げることにより生まれる。
  • 動(Moving)は、間質液やリンパ液と血流がテープによって生まれた空(Space)によって自由に流れることで促進する。
  • 冷(Cooling)は、組織に滞留した体液などによって生じた熱を、空(Space)と動(Moving)によって正常な温度に戻すことができる。
  • キネシオ理論:細胞環境の顕微鏡的変化が機能を変化させる。
空動冷